空き家の実家を放置するとどうなる?築100年の古民家管理から見えた5つの深刻なリスク

遠距離実家のリアル
手入れが追いつかず草木が伸び、草刈り作業に追われた瀬戸内海の島にある空き家の庭

実家が誰も住まない「空き家」になったとき、多くの人が頭を悩ませるのですが、恐らく最初の決断は「とりあえず今はそのままにしておこう」という選択になるのではないかと思います。

すぐに売ることもできないし、かといって住む予定もない。日々の仕事や生活に追われ、遠く離れた実家のことはついつい後回しになってしまう。そうして、実家が空き家のまま時間が過ぎていくケースは決して珍しくありません。

現在、私は名古屋で生活していますが、瀬戸内海の(陸続きの)島に築100年ほどの古い実家があります。70代後半の両親が年に数回通いながらなんとか維持していますが、もしこのまま手入れができなくなり「放置」してしまったらどうなるのか。

この記事では、空き家を放置するとどのような事態を招くのか、古民家を遠方から管理している実体験から見えてきた「5つの深刻なリスク」について、詳しくお伝えしたいと思います。

目次

空き家の放置とは?急増する「特定空き家」の危険性

空き家の「放置」とは、誰も住んでいない家屋に対して、定期的な換気や通水、草刈り、老朽化箇所の修繕といった「必要な維持管理」を一切行わず、そのままの状態で長期間放置しておくことを指します。

家は、人が住んで生活することで初めて風通しが保たれ、傷みを防ぐことができる生き物のような存在です。誰も出入りしなくなった家は、想像を絶するスピードで劣化していきます。

さらに近年では、倒壊の恐れがあったり、衛生上著しく周囲に悪影響を及ぼしたりする放置物件は、自治体から「特定空き家」に指定される制度が強化されています。指定されてしまうと、固定資産税の優遇措置が取り消されて税金が跳ね上がるだけでなく、最終的には行政によって強制的に解体され、その莫大な費用が所有者に請求されるという非常に恐ろしいリスクが潜んでいます。

実家を放置するメリット・デメリット

「管理が大変だから放置したい」という気持ちは、痛いほどよく分かります。私たち家族も、問題を先送りにしてきました。しかし、その行為は大きな代償が伴います。空き家を放置する(何もしない)ことのメリットとデメリットを、比較表で整理してみました。

選択肢メリット(一時的な楽さ)デメリット(将来の巨大なリスク)
そのまま放置する
(何もしない)
・遠方まで通う時間と交通費を一時的に節約できる
・草刈りや掃除などの肉体的な負担から解放される
・「実家をどうするか」という精神的な決断を先延ばしにできる
・急激な老朽化により、いざ売却や活用を考えた際に資産価値がゼロ(またはマイナス)になる
・倒木や屋根の崩落などで近隣に被害を出した場合、多額の損害賠償責任を負う
・特定空き家に指定され、固定資産税の増額や強制解体の対象になる
定期的に管理する・建物の劣化を最小限に抑え、将来の選択肢(売却・賃貸など)を残せる
・近隣との良好な関係を保ち、トラブルを未然に防げる
・毎年の固定資産税に加え、往復の交通費や修繕費が継続的にかかり続ける
・定期的に通うための時間と体力が大きく削られる

実体験:遠距離の空き家管理で直面した5つの過酷なリスク

ここからは、実際に名古屋から広島まで通い、実家を管理している我が家のケースをお話しします。「少し目を離しただけ」で、どのようなリスクが牙を剥くのか。企業サイトには書かれていない現実です。

1. あっという間にジャングル化する庭と高額な伐採費用

空き家で最も目に見えて恐ろしいのは、植物の生命力です。
人が住んでいれば気づいた時に抜ける雑草も、数ヶ月放置するだけで手がつけられない状態になります。我が家の場合、最も頭が痛いのが「庭の大木」です。放置すれば台風の際に倒れたり、隣の敷地へ枝が伸びたりする危険があるため、業者に伐採を依頼しました。その費用は1本あたり10万円前後。放置すればするほど木は太く高くなり、伐採費用も雪だるま式に膨れ上がってしまいます。

2. 使っていない設備が突然壊れる(温水器修理で10万円超)

「使っていないのだから壊れない」というのは大きな間違いでした。
先日、両親が実家へ帰省した際、深夜電気温水器が突然壊れてしまいました。長期間水を通さず、たまにしか稼働させないことが逆に設備への負担となっていたようです。修理・交換には10万円以上の出費がかかりました。放置すればするほど、水回りや電気設備は使い物にならなくなります。

3. 建物の劣化と歪み(修繕費100万円の懸念)

家屋は湿気がこもることで、柱や土台が急速に傷みます。
築100年になる我が家の母屋は、中心部に沈みが見られる状態です。定期的に風を通している現状でさえ老朽化は進んでおり、これを根本的に直すためのジャッキアップ工事には約100万円が必要と言われています。もし完全に放置して換気すら行わなければ、あっという間に床が抜け、屋根が崩れ落ちていたかもしれません。

4. 納屋や裏山など、敷地全体を管理する重圧

地方の古い実家は、家屋だけが問題ではありません。
我が家には、築50年になる鉄筋コンクリート造の古い納屋や、畑、裏山の山林などがあります。これらを放置すれば、害獣の住処になったり、土砂崩れなどの原因になったりして、近隣の方々に多大な迷惑をかけてしまう危険性があります。目の前の家だけでなく、広大な敷地全体がリスクの塊になってしまうのです。

5. 高齢の親への体力的な限界と、子世代の不安

「とりあえず今は親が通ってくれているから」と放置していると、いつのまにか親の体力が限界に近づいてしまいます。
我が家も両親が70代後半に差し掛かり、長距離移動と過酷な草刈り作業は本当に辛いと思います。親が行けない状況になってしまえば、次にすべての負担を背負うのはその子供=自分たちです。
問題を放置することは、将来の自分たちへの負担を何倍にもして押し付けていることと同じだと感じています。

遠距離実家や空き家放置に関するよくある質問(FAQ)

実家を放置してしまい、すでに草木が伸び放題です。どうすればいいですか?

まずはご自身で無理に作業せず、現地のシルバー人材センターや造園業者に見積もりを依頼してください。長期間放置された庭には、蜂の巣や害虫が発生している可能性もあり、素人がいきなり足を踏み入れるのは危険です。

「特定空き家」に指定される前に警告などはありますか?

はい、いきなり指定されるわけではありません。通常は自治体から「助言・指導」という形で改善を促す通知が届きます。この通知を無視して放置し続けると「勧告」へと進み、固定資産税の軽減措置の対象から外されてしまいます。通知が来た時点で必ず対応することが重要です。

こちらは名古屋市の公式ウェブサイトです。

遠方すぎて、どうしても定期的に通えません。

ご親戚にも頼めない場合は、民間企業が行っている「空き家管理サービス」の利用をおすすめします。月額数千円から1万円程度で、定期的な換気や通水、外観の目視点検を行い、写真付きで報告書を送ってくれるサービスが増えています。

空き家の中に残っている家具や荷物はどうすればいいですか?

家を傷めないためにも、早めに整理(遺品整理・不用品処分)を進めることが大切です。荷物が詰まったままだと風通しが悪くなり、カビや害虫の温床になります。大きな家具の処分などは、帰省のタイミングに合わせて不用品回収業者を手配するとスムーズです。

まとめ:実家の放置はトラブルと負債を先送りしているだけ

実家が空き家になったとき、決断を先延ばしにして放置したくなる気持ちは痛いほど分かります。

しかし、空き家は決して「現状維持」をしてくれません。時間は確実に家を劣化させ、草木を成長させ、修繕費という見えない負債を膨らませていきます。そして最終的には、ご近所トラブルや税金の増額となって、どうにもならない形で降りかかってきます。

私自身、瀬戸内海の島にあるこの実家を将来どうするのか、まだ明確な結論は出ていません。しかし、「放置だけは絶対にしてはいけない」ということだけは、日々の管理の苦労を通して身に染みて感じています。

もしご実家が空き家になりかけているのであれば、手遅れになる前に、まずは一度様子を見に行き、家族で少しずつ話し合いを始めてみてください。

この記事を書いた人

名古屋在住。
瀬戸内の島にある築100年の実家を家族で管理しています。
親が70代後半になり、遠距離実家の問題に直面しました。
空き家の維持費、古民家の管理、実家をどうするのか。
そのリアルを記録するブログです。

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