
最近、ニュースや周囲の会話で「遠距離実家」という言葉を耳にすることが増えてきました。
親が高齢になり、離れて暮らす実家をどうしていくのか。これは、都市部に住む多くの子ども世代が直面している切実なテーマです。
私は現在名古屋に住んでいますが、実家は広島県、瀬戸内のとある島(※陸続き)にあります。築100年ほどの古い家で、現在は誰も住んでいない「空き家」です。70代後半に差し掛かった両親が年に数回、長距離移動をしてなんとか維持していますが、体力面でも費用面でも限界が近づいています。
この記事では、遠距離実家とは一体どのような状態なのか、そして空き家となった古民家を遠方から管理することがどれほど厳しく大変なことなのか、私の実体験を交えてありのままにお伝えしたいと思います。
同じように実家のことで悩まれている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
遠距離実家とは?今、日本で急増している社会問題
遠距離実家とは、自分が現在生活している場所から遠く離れた地域にある実家のことを指します。
進学や就職を機に都市部へ移住し、そのまま家庭を持つケースが増えた現代の日本では、親世代と子世代が遠く離れて暮らすことがごく一般的になりました。親が元気なうちは「たまに帰省する故郷」として機能しますが、月日が経過して親が高齢になり、施設に入ることになったり、ついには他界したりすることで、実家が「遠方にある空き家」へと変わってしまいます。
総務省の調査などでも空き家の増加は度々指摘されていますが、遠距離実家は「誰が、どうやってその家を維持・管理していくのか」という非常に重たい課題を家族に突きつけます。
遠距離実家を維持するメリット・デメリット
遠く離れた実家をそのまま維持するのか、それとも手放すのか。これは簡単に答えが出るものではありません。まずは、遠距離実家を維持し続けることのメリットとデメリットを比較表で整理してみます。
| 項目 | メリット | デメリット |
| 金銭面 | 焦って安値で売却などのミスをしない 将来的な資産活用(賃貸など)の可能性を残せる | 固定資産税、交通費、火災保険料が毎年かかり続ける 老朽化による突発的な高額修繕費が発生する |
| 管理面 | 自分のペースで少しずつリフォームできる | 庭の草刈りや樹木の伐採など体力的・金銭的な負担が大きい 台風や地震の際、すぐに状況を確認しに行けない |
| 精神面 | 家族の思い出の詰まった場所・故郷を守れる 親の希望(残してほしい)を叶えられる | 「いつまでこの管理が続くのか」という見えないプレッシャー 近隣へ迷惑をかけていないか常に不安が付きまとう |

実体験:空き家になった築100年の古民家を管理する泥臭い現実
ここからは、名古屋から広島県の田舎まで通い、築100年の古民家を管理している我が家の「厳しい現実」をお話しします。
頭で思い描く「古民家維持」と、実際の空き家管理は、全くの別物でした。
深夜電気温水器の故障と10万円以上の突発的な出費
家は、人が住まなくなるとあっという間に傷んでいきます。
その一例をお話します。
ある年に、両親がいつも通りメンテナンスのために実家へ帰省した際、深夜電気温水器がいつの間にか壊れていて、お湯が出なくなってしまいました。たまにしか使わないことが、逆に設備の寿命を縮めてしまったのかもしれません。
島という土地柄、すぐに駆けつけてくれる業者さんも限られており、修理・交換には20万円以上の出費が掛かったそうです。普段誰も住んでいない家のために、突然数十万円が飛んでいく。この経済的なダメージと絶望感は、遠距離実家のリアルな恐ろしさです。
庭の草刈りと「大木伐採」という終わりのない戦い
古い家には、立派な庭や裏山、竹藪などがつきものです。
人が住んでいれば日々のお手入れで防げる草木も、数ヶ月空けるだけでジャングルのように荒れ果てます。近所の方にご迷惑をおかけするわけにはいかないため、親戚にお礼を包んで草刈りをお願いすることもありますが、問題は「大きく育ちすぎてしまった木」です。
素人では到底手がつけられず、業者に大木の伐採を依頼したところ、1本あたり10万円前後かかると言われました。切っても切っても翌年には別の木が育つ、まさに終わりのない戦いです。
名古屋から瀬戸内への重い交通費と移動時間
そして何より重くのしかかるのが、実家へ向かうための交通費と時間です。
名古屋から広島県の実家まで、車であれば高速道路代にガソリン代、公共交通機関であれば新幹線や在来線、最後はタクシーまで利用しないとたどり着けません。
これらが往復で掛かるわけですから、費用は決して安くありません。帰省のたびに大きな出費となり、さらに到着してからは休む間もなく掃除や草刈りに追われます。
両親は「自分たちの実家だから」と無理をして通っていますが、70代後半の体には酷すぎます。
いつか私がこの役割を引き継ぐ日が、確実に近づいているのを感じています。
遠距離実家や空き家問題に関するよくある質問(FAQ)
遠距離実家の管理で、最低限やっておくべきことは何ですか?
まずは「定期的な換気と通水」「郵便受けの確認」「近隣へのご挨拶」の3つです。特に湿気は古い家を急激に劣化させるため、最低でも数ヶ月に一度は空気の入れ替えを行うことが理想です。
空き家の固定資産税は高くなるって本当ですか?
適切に管理されていれば、すぐに高くなるわけではありません。しかし、屋根が崩れ落ちていたり、庭木が道路にはみ出したりして「特定空き家」に指定されてしまうと、固定資産税の軽減措置が外れ、税金が最大6倍に跳ね上がるリスクがあります。
遠距離で通えない場合、どうすればいいですか?
親族に頼めない場合は、地域のシルバー人材センターに草刈りを依頼したり、民間企業が提供している「空き家管理サービス(月額数千円〜)」を利用して、定期巡回や写真報告をしてもらうのが現実的な選択肢です。
実家の片付けは、どのタイミングで始めるべきですか?
親が元気なうちに、少しずつ話し合いながら始めるのがベストです。親が亡くなった後や、認知症などで判断ができなくなってからでは、手がつけられないほど大量の荷物(遺品整理)に追われ、業者への費用も数十万円単位で膨れ上がります。
最終的に実家を手放す場合、どんな方法がありますか?
地元の不動産会社への売却相談のほか、最近では全国対応の「不動産一括査定サイト」を利用して相場を知る方法や、自治体が運営する「空き家バンク」に登録して移住希望者を探す方法などがあります。
実際のところ、空き家を維持していくには年間どれくらいのお金がかかるのでしょうか。我が家のリアルな数字は以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ:遠距離実家の問題は、いつか必ず「自分の問題」になる
遠距離実家とは、単なる「遠くの空き家」ではありません。お金、体力、そして家族の思い出が複雑に絡み合った、非常に重たい現実です。
「まだ親が元気だから大丈夫」「その時が来たら考えよう」と先送りにしていると、ある日突然、大きなトラブルや高額な出費となって子世代に降りかかってきます。
私自身、この「遠くにある思い出の古民家」をどう着地させるのか、まだ明確な答えは出ていません。だからこそ、このブログを通じて、失敗も悩みもすべてありのままに記録していこうと思います。
次回は、遠距離実家の維持に「年間どれくらいの費用がリアルにかかっているのか」を、さらに詳しく深掘りしてお伝えします。
